2019年10月 欅平ビジターセンター STAFF BLOG

欅平ビジターセンター
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欅平ビジターセンター STAFF

欅平ビジターセンター
〒938-0200
富山県黒部市宇奈月町黒部奥山
TEL:0765-62-1155
 
黒部峡谷の景観とそこに生息する動植物の紹介。黒部峡谷の誕生や歴史・地形・地質・景観・動植物・登山ルート、峡谷と人間の関わりをマルチイメージスライドにより紹介しています。

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宇奈月のほうが。。。

本日29日からは七十二候でいう「霎時施(こさめときどきふる)」に入りました。
そしてそのとおり、本日は朝から冷たい雨がしとしとと降っています。
この冷気で紅葉も加速中。

昨日28日は晴天。
1unaduki.jpg
(宇奈月駅)

2unaduki.jpg
(宇奈月ダム近くの山)

宇奈月からトロッコに1時間以上も揺られて来なければならない欅平では、さぞかし紅葉が進んでいるのでは、と期待されて来るお客様もおられることでしょう。
しかしながら、標高が380mほどしか高くなく、気温で2、3℃しか変わらないこともあり、それほど大きな差はありません。
それどころか。
「なんなら宇奈月の方が紅葉進んでるんじゃない?」
と思われる方もいらっしゃるとか。
いえいえ。それはございません。

宇奈月の山に比べると、欅平の山は険しいのです。
峡谷の奥に進むにつれて川岸の岩壁はそそり立つように迫ってきます。

宇奈月あたりのなだらかな山の森は、欅平に比べると大木も多く、密生していて「厚み」があります。
3unaduki.jpg
(もこもことした宇奈月湖畔の森)
なので、葉の量も多く、色づいた葉がたくさんまとまっているので目立つのです。
これから色づきが進めば、それはそれで見応えがあります。

4okukanneyama.jpg
(欅平を代表する奥鐘山)
対して欅平では垂直に近い岩肌にへばりつくように樹木が生えるため、広葉樹の大木はあまり育ちません。なので、そもそも葉の量が少ないため、紅葉していても宇奈月ほど目立たないのです。

5meikennsan.jpg
(山頂はかなり色づいて見える名剣山)
量は少ないのですが色とりどりの葉の色と、所々に見える岩肌の色、その下を流れる急流の水の青さ。。。といった、宇奈月とはまた別の美しさが見られます。

これからトロッコ沿線も日毎に色合いを増していきますので、どうぞ、渓谷の地形ごとの紅葉をお楽しみください。

明日からは晴れるようです。「小春日和」。


【おまけ】
先週まで低温の日があまり続かなかったせいか、
途中で紅葉が足踏みしていたようで。
6momiji.jpg
7momiji.jpg

命名「パンダもみじ」。

キャラメルの香り

欅平の紅葉は
0keyaki.jpg
(昨日の祖母谷堰堤)
今のところ、まだ50から70パーセントくらいの色づきでしょうか。
観光ポスターで見るような鮮やかな紅葉を求めて来られた方々にとっては、まだちょっと残念な色合いではありますが、進んできてはいるのです。少しずつ。
明日あたりから朝の最低気温もグッと下がる予報なので、一気に進むかもしれません。

秋の気配を感じるのは、なにも視覚だけではありません。
嗅覚で感じる秋もあります。
カメムシの匂いかっ。と思い出されるかたもいるかもしれませんね。

トロッコの途中駅「笹平」でほのかに香ってきたのはキャラメルのような香りです。

1katsura.jpg
カツラの落ち葉です。
独特の「砂糖を焦がしたような匂い」が漂ってきます。

3katsura.jpg
葉は丸っこいハート型。
嗅覚の敏感な方は葉が緑のうちから「匂う」といわれますが
秋の落葉のころに一際感じられます。

2katsura.jpg
欅平ではカツラの木はあまりありませんが、黒薙駅から鐘釣駅沿線で川岸などに見つけられます。

皆さんもそれぞれの「秋の香り」を見つけてください。

来年の準備

まだ紅葉というには気が早い感じではありますが、ほんのり黄色やオレンジ色がかった部分も増え始め、ビジターセンター前の広場の落ち葉の量も日増しに増えてまいりました。
広場
(駅前広場から)※肉眼ではもうちょっと色づいてるように見えます(^^;)

「落葉」は葉の付け根に離層という部分があり、枝から切り離されることで起こります。
これは落葉樹に関わらず、樹木のほとんどで起こります。
サワグルミ落ち葉
(サワグルミの落ち葉)

落葉樹と呼ばれるものは、1年のうちで光合成に適した季節にのみ葉をつけます。
温帯の落葉樹であれば春から秋に葉をつけて光合成をし、寒い冬には全ての葉を落とします。
冬は気温が低いので、葉をつけていても光合成をして得られるメリットより、葉の維持に必要なコストの方が勝ってしまうからです。
ヤマザクラ葉
(ヤマザクラの葉)

一方、冬の間も緑の葉をつけている常緑樹は、そのあたりのコストパフォーマンスを良くしているのでしょう。落葉樹に比べると丈夫な葉を作り、その寿命は1年以上(~数年)ですが、やはり古くなったり、傷んだ葉は生産性が悪いので落葉します。
ツガ葉
(ツガの葉)

つまり、どのタイミングで葉を落とすかは樹木にとってのコストパフォーマンスが最適になるように調整されています。
落葉樹であれば気温条件によって大きく左右されます。

葉を落とすとき、葉に含まれる養分や、葉の働きに必要な成分はなるべく多く回収して、次に作る葉に使うために枝や幹などに貯蔵します。
回収や貯蔵をするために、葉の中でさまざまな形に組み立てられているものをいったん分解しなければなりません。

まず最優先で回収しようとするものが光合成色素のひとつ、葉の緑色を作り出している葉緑素(クロロフィル)の成分です。これが分解されていくと緑色がだんだん薄くなり、紅葉もしくは黄葉します。
黄色くなるものは、もともと葉に含まれている黄色の色素(カロテノイド)が、緑色が消えたことによって見えるようになった状態です。
赤くなるものは、落葉の前に新たに葉の中で赤い色素(アントシアニン)が作られることによって起こります。これも緑色が薄くならなければ見えません。
キブシ紅葉
(一部分だけ赤くなったキブシの葉)

ヒトの目を楽しませてくれる紅葉ですが、実は植物の葉の中では着実に来年のための準備をしています。

そして、この「葉が赤くなる」現象、どういう仕組みで赤くなるのかは解明されていますが、「何故」赤くなる必要があるのかということについては、諸説ありますが、まだはっきりとは解明されていないのだそうです。
これはなんとなくこのまま解き明かされず、いつまでも自然の不思議のひとつであってほしいなと、ちょっと思います。

へくさんぼ

本日は
カメムシの大発生。

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山の近くにお住いの方々なら良くご存じのはずではありますが
この季節、陽の当たる暖かい外壁などに
びっしりと。カメムシが集まってくることは良くあるのです。

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ですが、本日はちょっと多すぎではなかろうか。と。

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(たぶん)クサギカメムシです。
マメ科などの植物の汁を吸うため、農家の皆様には嫌われ者。
寒い冬になる前に、冬眠できる場所を探して家屋に浸入してくるのも嫌われるポイント。
なにより、臭いから。嫌われますよね。

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よほどの刺激を与えない限りは臭い汁を出すこともないようです。
身体の表面は意外に固く、けっこう大きな羽音をたてて飛んできますが、ヒトを刺すわけではありませんから。

このあたりの皆さんは「へくさんぼ」と呼んでいます。
英語ではstink bug=悪臭を放つ虫。
カメムシの仲間全体ではshield bugsとも言うようです。
形ですね。5角形の。まさしく西洋の盾の形。

うーむ。。。
なかなか褒めるポイントが見つかりませんが
これも自然の一部としてご理解ください。

クマとの遭遇に注意

先月、富山県では「ツキノワグマ出没注意情報」が発令されました。
毎日のように「クマ出没」のニュースが聞かれます。

ツキノワグマは冬眠前の秋になると食欲を増し、大量の餌を求めて活動範囲を広げます。
昨年はやや豊作だった山のブナやミズナラの堅果(どんぐり)が、今年は凶作と報告されているため、本来の生息地を外れてヒトの住むエリアまで活動範囲を広げているのかもしれません。

ビジターセンターのお客様から
「このあたりにクマはいますか」と、時々質問されます。
はい。います。もちろんいます。
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ツキノワグマの生息地です。
欅平周辺でも目撃情報は年に数回ほどありますが、皆さんが散策で歩かれるような範囲での人的被害は今のところ無いようです。多くのヒトで賑わう日中などは特に、警戒して姿を見せないのかもしれません。

しかし残念なことに、先日、黒部ダムに向かう旧日電歩道にて登山道整備の作業員の方が親子クマと遭遇し、ケガをされました。

本来臆病な性格のツキノワグマが積極的にヒトを襲うことは、ごく稀です。
でも、欅平からさらに奥山に登山で向かわれる場合、見通しのきかない登山道で出合頭に遭遇してしまうと、驚いて襲ってくる可能性が高いのです。
鉢合わせてしまう前に、なるべくヒトの存在を知らせて、クマに避けていただくのが最良です。
どうぞクマ鈴など音の出るものを身に着ける、グループで行動するなど、十分な準備をして、厳重な警戒をしつつ、山に入ってください。
「落石の危険があるため」といってヘルメット着用をお勧めしていますが、クマに遭遇して襲われた時の防護にも役立ちます。

万が一、クマに遭遇してしまっても、あわてず、騒がず。
落ち着いて行動しましょう。
参考↓
クマを知って事故を防ごう

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