黒部峡谷の景観 欅平ビジターセンター STAFF BLOG

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〒938-0200
富山県黒部市宇奈月町黒部奥山
TEL:0765-62-1155
 
黒部峡谷の景観とそこに生息する動植物の紹介。黒部峡谷の誕生や歴史・地形・地質・景観・動植物・登山ルート、峡谷と人間の関わりをマルチイメージスライドにより紹介しています。

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淵に潜むもの

11月も残り少なくなってまいりました。
20201121_1.jpg

11月の異名に「竜潜月」(りゅうせんげつ)というのがあるのだとか。由来は不明。
竜が潜むといって思い浮かぶのが「竜淵に潜む」という秋の季語。こちらの由来は中国の古い文献で「龍は春分に天に昇り、秋分に淵に潜む」というのがあることからなのだそうで。秋の中でも特に秋分の頃を指す季語になります。11月ではないですね。

20201121_2.jpg
竜が潜んでいるかもしれない「淵」。
秋の晴れた日の深い深い青色を見ていると吸い込まれていきそうな気分にもなります。

20201121_3.jpg
川には水深が深く波があまりたたない「淵」と水深が浅く白く波立ったりする「瀬」があります。くねくねと流路が曲がっているとコーナーごとに「淵」と「瀬」がセットになって交互に見られます。
たいていカーブの外側は水流による大きな力が加わり岸や底がえぐられるため「淵」となりやすいようです。深くなってしまうと流れは緩やかになり魚たちの休憩場所になるのだそう。

20201121_4.jpg
一方の「瀬」には日光が届きやすく藻などが育つとそれをエサにする水生昆虫が集まりやすい。とのことですが。黒部川の水温は低いので水生昆虫は少ないのです。
とすると水生昆虫をエサにする魚も。。。少ない。

黒部川(の上流域)の魚といえば ニッコウイワナ です。
欅平でも淵のあたり水面をながめていると時折ゆらりと泳ぐ姿を見かけます。

奥黒部のイワナの食性を調べたところ大量のアリを食べていたという調査結果がありました。
水温が低くて水生昆虫が少ない黒部川上流部では川岸の森に棲む昆虫などがイワナの貴重な主食となっているという。。。
山と森と川の繋がりを意識させられます。

20201121_5.jpg
欅平の「淵」にはイワナが潜んでいます。
イワナをとりまく環境が。どうぞこの先もイワナの住める環境でありますように。

あの白い山

秋も後半にさしかかってきたようで紅葉も見ごろとなり
先週末から周辺の山に雪が見られるようになりました。

sannnabiki_hiroba.jpg
(広場から見えるサンナビキ山)
そして今週
「あの白い山はなんですか」という質問が。急増。
ちょっと困るのが「どこ」から「どっち」を見たかわからないとき。
なかなかお答えするのが難しいことがあります。

tizu.png
ちょっと整理してみましょう。

karamatsu_a1.jpg 
karamatsu_a2.jpg
まずは猿飛遊歩道の途中(地図A)から見える唐松岳
一番右側のとがった部分が山頂と思われます。

sannnabiki_b.jpg
奥鐘橋(地図B)から見るサンナビキ山。
広場からだと右側のピークしか見えませんが橋から見るとピークがふたつ。
左側のピークを滝倉山、右側をサンナビキ山とすることもありますが
全体でサンナビキ山(もしくは滝倉山)とすることもあるようです。

tengu_c1.jpg 
tengu_c2.jpg
(2枚の撮影日違っててスミマセン。上の写真は10月中旬のまだ積雪前のものです。)
名剣温泉の先(地図C)から祖母谷川の上流方向に見える白い稜線。
唐松岳北側稜線の天狗の頭~不帰嶮(かえらずのけん)あたりではないかと。

takikura.jpg
もう少し進んでスノーシェッドを抜けたあたりから駅のほうを振り返るとサンナビキ山の左側のピーク(滝倉山)が少し見えます。

kekachi_d1.jpg 
kekachi_d2.jpg
名剣温泉から祖母谷温泉に向かう中間あたり(地図D)から川の下流、駅の方向をながめると毛勝三山の釜谷山~毛勝山あたりが白く浮き上がります。
(右側のピークは毛勝山ではなく手前の違うピークだと思われます。毛勝山の山頂はちょうどその後ろではないかと。)

karamatsu_e1.jpg 
karamatsu_e2.jpg
そして祖母谷温泉(地図E)まで来ると唐松岳の山頂が。
(これもまだ雪のつく直前の写真で^^;。今は白くなっています。)
猿飛遊歩道からだと山頂から北側のギザギザとした稜線が見えるのに対して祖母谷温泉からだと南西に伸びる少しなだらかな稜線が見られます。

ちょっとした角度でも見える場所は変わってきてしまいますが。
だいたいこんなところでしょうか。

春先の残雪が残る時期にもよく聞かれるのですが。
夏になって雪がとけ木々の葉が生い茂ってくるとほとんど聞かれなくなります。

でも。ちゃんとずっとそこにあるのですよ。

八千八谷の作り方

奥鐘橋
梅雨本番です。雨がよく降っています。

奥鐘山
奥鐘山に普段は見られない沢が現れます。
黒部峡谷はその豊富な水の流れによって浸食され、深いV字谷となったと考えられます。
この沢もいずれは岩壁を削って谷を作るのでしょうか。

奥鐘橋から上流
「黒部八千八谷(くろべはっせんやたん)」とは、たくさんの、数えきれないほどの谷が合流して黒部川の流れを作っていますよ。ということのたとえなのですが。
その名の通りトロッコに乗って眺めているだけでも大きな谷から小さな沢までたくさん見かけます。
このたくさんの谷、いったいどうやってできるのでしょう。

黒部川の流域の大半は花崗岩を主体としています。
御影石(みかげいし)という名で石材としてもおなじみの岩石です。
マグマが地下の深いところでゆっくり冷え固まって出来た花崗岩は非常に硬いのですが、マサ化と呼ばれる風化をしやすい性質も持っています。
漢字で書くと真砂(まさ)、とは花崗岩が風化してできた砂状のもののこと。

かたい花崗岩が風化してしまうと、山は削れたり崩れたりしやすくなります。
この風化作用は岩のある場所の違い、水や空気に触れる量、花崗岩に含まれる組成の違いなどによって風化しやすかったりしにくかったりするようです。
また、断層の存在、大町トンネルで有名な破砕帯なども水を通しやすくしたりして地形を変える要因となりそうです。

名剣手前
名剣温泉手前の崖(厳密にいえば花崗岩じゃないかもしれませんが)、よく見ると節理と呼ばれる一定方向にそろったひび割れがたくさん見られます。
この節理によって割れる方向が定まったり、硬いところが残ったり、様々な要因が重なって今の黒部峡谷のダイナミックな地形となりました。→有名なのは 十字峡 S字峡
そしてその地形は今もなお変化し続けています。

祖母谷堰堤
(山が崩壊して流れ下ってくる土砂を防ぐために建設された祖母谷堰堤。)
数百万年前から隆起し続ける大地は地表面で侵食され続けています。
今我々が見ている山はいつも同じようでいて、実は姿を変えているのかもしれません。

前回の記事 とは真逆なことを言っているようですが(^^;)
時間のスケールの違いですね。
鳥の飛び立つまでの時間と山が姿を変えるのに必要な時間。

欅平って。。。

紅葉本番。
といっても大丈夫でしょう。
DSCN2040.jpg

欅平の山は険しいので広葉樹の大木はない」と先日うっかり書いてしまいました。
駅やビジターセンターの対岸の景色は断崖が多いのですが
反対側(ビジターセンターの裏側)の山は比較的なだらかなので
結構広葉樹の大木も多く見られます。

DSCN2010.jpg
(人喰い岩の先から見た山)
ケヤキの木もパノラマ展望台へ向かう登山道沿いに大木が何本か見つけられます。

DSCN2046.jpg
(これは猿飛山荘手前のケヤキの大木)
「欅平(けやきだいら)」の地名は「ケヤキの大木があった」ことから名づけられたとされています。

それでは。。。「平」は?

トロッコ沿線には他にも「笹平(ささだいら)」、「出平(だしだいら)」、「小屋平(こやだいら)」と、「平」のつく駅があります。
いずれも黒部峡谷の奥地へと進む途中の開発の拠点、昔であれば小屋など、今なら駅を作るのに適した(?)「平らな」場所だったことから名づけられたと考えられます。
しかしながら基本険しい地形の黒部峡谷。「平ら」といっても、ほかの場所より多少緩やか、といった程度のものです。

「平」は国語辞典でも漢和辞典でも「平らか」を意味しています。
広辞苑では「山中にある相当広い緩斜面」とも。
ちなみに、地名にはアイヌ語を語源とすることも良くあるのですが、アイヌ語でtaiは「林や森」を、raは「低い」ことを意味します。
また、「平」を「ひら」と読む場合、古語や方言では「坂」の意味でつかわれることもあり、また、アイヌ語の「崖」を意味するpiraが語源の可能性もあるそうで。

DSCN2025.jpg
(猿飛遊歩道から、遠くに見えるのは唐松岳)
なんとなく「崖」の方が欅平のイメージに合いそうな気もしますね。

富山県内で有名な「だいら」といえば、立山の「室堂平(むろどうだいら)」や「大日平(だいにちだいら)」といった、広大な溶岩台地がどうしても思い出されてしまうので、それと比較すると「欅平」は本当に猫の額ほど。
それでも黒部峡谷の重要な拠点だったに違いありません。

本日もたくさんの観光客の皆さんで賑わっております。

宇奈月のほうが。。。

本日29日からは七十二候でいう「霎時施(こさめときどきふる)」に入りました。
そしてそのとおり、本日は朝から冷たい雨がしとしとと降っています。
この冷気で紅葉も加速中。

昨日28日は晴天。
1unaduki.jpg
(宇奈月駅)

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(宇奈月ダム近くの山)

宇奈月からトロッコに1時間以上も揺られて来なければならない欅平では、さぞかし紅葉が進んでいるのでは、と期待されて来るお客様もおられることでしょう。
しかしながら、標高が380mほどしか高くなく、気温で2、3℃しか変わらないこともあり、それほど大きな差はありません。
それどころか。
「なんなら宇奈月の方が紅葉進んでるんじゃない?」
と思われる方もいらっしゃるとか。
いえいえ。それはございません。

宇奈月の山に比べると、欅平の山は険しいのです。
峡谷の奥に進むにつれて川岸の岩壁はそそり立つように迫ってきます。

宇奈月あたりのなだらかな山の森は、欅平に比べると大木も多く、密生していて「厚み」があります。
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(もこもことした宇奈月湖畔の森)
なので、葉の量も多く、色づいた葉がたくさんまとまっているので目立つのです。
これから色づきが進めば、それはそれで見応えがあります。

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(欅平を代表する奥鐘山)
対して欅平では垂直に近い岩肌にへばりつくように樹木が生えるため、広葉樹の大木はあまり育ちません。なので、そもそも葉の量が少ないため、紅葉していても宇奈月ほど目立たないのです。

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(山頂はかなり色づいて見える名剣山)
量は少ないのですが色とりどりの葉の色と、所々に見える岩肌の色、その下を流れる急流の水の青さ。。。といった、宇奈月とはまた別の美しさが見られます。

これからトロッコ沿線も日毎に色合いを増していきますので、どうぞ、渓谷の地形ごとの紅葉をお楽しみください。

明日からは晴れるようです。「小春日和」。


【おまけ】
先週まで低温の日があまり続かなかったせいか、
途中で紅葉が足踏みしていたようで。
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命名「パンダもみじ」。

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