黒部峡谷の生きもの 欅平ビジターセンター STAFF BLOG

欅平ビジターセンター
STAFF BLOG

欅平ビジターセンター STAFF

欅平ビジターセンター
〒938-0200
富山県黒部市宇奈月町黒部奥山
TEL:0765-62-1155
 
黒部峡谷の景観とそこに生息する動植物の紹介。黒部峡谷の誕生や歴史・地形・地質・景観・動植物・登山ルート、峡谷と人間の関わりをマルチイメージスライドにより紹介しています。

最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

02月 | 2023年03月 | 04月
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
RSSリンクの表示
カウンター

アゲハモドキ

10月のはじめ。猿飛遊歩道にて。

agehamodoki1.jpg
足元になにか白いものが。

agehamodoki2.jpg
なんだ何だ???

agehamodoki3.jpg
横から見た形。

一瞬ゴミかと思ったのですが。どうやら生きもののよう。
調べてみたところアゲハモドキの幼虫でした。

アゲハモドキ???

agehamodoki4.jpg
これだ!
6月に宇奈月駅のホームで出会いました。

agehamodoki5.jpg
この時はちょっと適当に調べてて^^;。「ジャコウアゲハかなー」なんて思っていたのですが。
違いましたね。
アゲハモドキです。

ジャコウアゲハは蝶。アゲハモドキは蛾の仲間で触覚の形がよく見ると違います。
あと大きさもアゲハモドキのほうがだいぶ小さめ。
でも。色や模様がそっっっくりなのです。 ※成虫は。 幼虫は似ていません。

ジャコウアゲハは毒のある蝶として有名。
その幼虫はウマノスズクサの葉を食べて育ちます。ウマノスズクサの仲間には毒になる成分が含まれており蝶になってもジャコウアゲハの体内に残ります。

アゲハモドキの幼虫はミズキ科などの葉を食べて育ち毒は作られません。
毒は無いのに毒のある他の種の姿に似せて「毒があるんだぞ!」と敵を脅して身を守っているというわけです。←ベイツ型の擬態といいます。
自然界ではよく見られる擬態の一種で。他にはハチやカエル、ヘビなどにも例があります。
アオダイショウの子供がマムシの模様にちょっと似ていたりするのもこのタイプの擬態です。

agehamodoki6.jpg
9月にビジターセンター裏のウリノキの葉にいたアゲハモドキの成虫。
欅平でも成虫確認してました。

まんまと騙されました。
・・・違いますね。ちゃんと調べましょう。というお話。


クスサンのいる風景

少し前のこと
ビジターセンター朝の開館前です。

20200928_1.jpg
我々より先に来て開館を待っておられるお客様が。(違うか^^;。)

20200928_2.jpg
クスサン♀です。
ヤママユガ科の巨大な蛾です。

  20200928_4.jpg
  そういえば7月にまだ幼い頃の姿をお見かけしていました。
  その長い白毛から「シラガタロウ」と呼ばれるそうです。
  名前の通りクスノキの葉も食べますしクリなどの葉も好きなのだそう。
  比較的なんでも食べる種類の毛虫です。
  大量発生すると果樹栽培などには被害がでることも。
  毒はないのですが刺されたら多少痛いかもしれません。

20200928_3.jpg
そして9月。大人になったのですね。
成虫は羽化するとすぐ1~2日くらいの間に交尾をして雌は産卵します。
蛾の姿で生きられるのはわずか5日ほど。その間エサはとらないので口はありません。

夏の終わりから秋にかけてヤママユガ科の大型の蛾の成虫をよく見つけます。
 去年見つけた→ ヤママユの成虫
多くのものは夜行性なので活発に飛んでいる姿というよりは朝などに建物の壁にとまって休んでいる姿を見つけます。

20200928_5.jpg
よく見れば軒下にも。交尾中の2頭が。
珍しいですね。もう朝なのに。

20200928_6.jpg
建物の中から見るとこんな感じ。
ちょっとピントが微妙なのですが。たぶん右側が♂。

20200928_7.jpg
たまにはこんな窓からの景色も。
いかがでしょう。


稲の子ですか?

9月です。稲刈りの季節。
平野部の田んぼでは稲穂が黄金色に色づいています。
台風が猛烈なフェーンとともに夏を連れ去り欅平の空気も秋めいてきました。

20200910_1.jpg
ちょっと羊でも数えてみたくなる空。
賑やかな夏もいよいよ終わります。
そんなこの夏。ずっと欅平を賑わせていたのはこちらの方々。

20200910_2.jpg
ハネナガフキバッタです。
イナゴじゃないの?イナゴだよね?
という声が多数聞かれましたが。
結論。ハネナガフキバッタです。
バッタという名がつきますが一応イナゴの仲間。

20200910_3.jpg
あごの下、左右の前脚の間に「のどぼとけ」(のような突起)があります。
そもそもイナゴはバッタの仲間なのですが、この「のどぼとけ」があるものをイナゴ科として分けることもあるとか。
分類としては バッタの仲間>イナゴの仲間>フキバッタの仲間 という感じで。
まあ。ややこしい話はさておき。

20200910_4.jpg
イナゴの仲間とはいえ
いわゆる佃煮などにして食べるハネナガイナゴやコバネイナゴとはちょっと種類が違います。
なにより。イネを食べません。
「稲子」じゃない!

イナゴの名前の由来はイネを食べる(害虫)から稲の子。という説。
フキバッタはフキ(蕗)の葉を食べていたところから名づけられています。
実際にはハネナガフキバッタが良く食べるのはマメ科植物の葉など。
マメ科植物。。。クズ(葛)とか ハギ(萩) とか。。。
稲のような細長いものでなく丸っこい形の葉の草を食します。

20200910_5.jpg
生息場所もイナゴは平野部の水田にいますがハネナガフキバッタは山に多くいます。
今年の欅平のように時々大発生することもあるとか。
大豆などの農作物に影響ありそうですが大きな被害になることは少ないそうです。

「平野部の田んぼで農薬散布するから山に移動してきたのでは。」という意見もございましたが。どうなのでしょう。

20200910_6.jpg
トロッコ電車でも移動しておられたり(^^;)。
平野部のイナゴも山に来るかもしれませんね。


マイマイガ

8月も終わるころ

maimaiga1.jpg
ビジターセンターの軒下に白っぽいモフモフの物体を発見。
あれは。。。マイマイガの卵(卵塊)ですね。

maimaiga2.jpg
ちょうどその少し前に宇奈月駅のトイレ軒下にて別の犯行現場を目撃しました。

maimaiga3.jpg
犯人はこの方。マイマイガの雌です。
卵の周りのモフモフは蛾の体の表面に生えている鱗毛と呼ばれるもの。雌は卵を産むと自分の体の毛を卵の周りにコーティングします。
たぶんこの個体も卵を産み付けたあとなのでしょう。おなかのあたり毛が無くなっています。そしてまもなく命を終えていきます。

※このモフモフ(鱗毛)。目に入ったりするとあまりよくないそうで。蛾もあまり素手では触らないほうが良いとのこと。お気を付けください。^^;さわってますけど。

maimaiga9.jpg
ちなみにこちらが雄。雌とは色や形の雰囲気が異なります。
雌はあまり活発に飛び回りませんが雄は活発。
舞い踊るように飛び回ることから「舞舞蛾」。
英語ではGypsy Moth。ジプシーか。。。

maimaiga4.jpg
最近では大量発生をしたときなど住宅の外壁に卵を見つけることが多いのですが自然の状態では樹木の幹などに産み付けられます。
地面から1mほどの場所に多いとのこと。

maimaiga5.jpg
これはビジターセンター裏のケヤキの木。

卵の状態で冬を越し翌春に毛虫が誕生します。
生まれた毛虫は糸をはいてぶら下がる様子からブランコ毛虫と呼ばれます。
ビジターセンターの軒下にはベンチがありますので春になって毛虫が落ちてきたら大変です。閉館する前に取り除かなければ。。。
※※
と思っていたのですが。10月。外壁の補修工事の際に取り除いていただけました。
※※

マイマイガはおよそ10年周期で大発生することが知られています。
毛虫はほとんどの樹木や草の葉を食べることのできる広食性で大発生すると被害の出ることもありますが2、3年で寄生虫やら病気やらで個体数が自然に減るのだそう。
生態系に備わった不思議な調節機能が働いているのですね。

時期的にはそろそろ。来年か再来年あたり大発生する
かもしれませんよ。


続きを読む

虫の声

酷暑。極暑。炎暑。。。どれもがふさわしい感じで暑いです。
欅平でも今日は30℃近くにまでなりました。

蝉時雨も季節とともにちょっと変化して
先月まではヒグラシが大合唱していましたが
梅雨明けとともにミンミンゼミに移り変わりました。
(早朝や夕方にはヒグラシの声も聞かれます。)

ヒグラシ
ヒグラシの♂。体長3、4cmほどの小さなセミです。

そういえば 去年ビジターセンター窓に来たミンミンゼミ は♀でした。

虫の声は他にも。
草むらではキリギリスの声が時折聞こえてきます。

ヤブキリ
こちらはキリギリス(たぶんヤブキリ)の♀。お尻に長い産卵管があります。
タニウツギの葉の間で隠れていました。

セミもキリギリスもなかなか鳴いている♂の姿を見つけられません。
大きな声で鳴くために敵に見つからないよう用心深くしているのでしょうか。
声はすれども。。。
そんな中鳴いている姿をよく見かける虫が現れました。

ホソクビツユムシ1
ホソクビツユムシです。ブナ帯に多いのだそう。

ホソクビツユムシ2
「じいっ。じっじっじっじっじっじっ。じきじち。」
と鳴いてはすぐにせかせかと移動して止まってはまた鳴きます。
見ていると。ひとことで言えば。せわしない。
良く動くので鳴き声が聞こえたら少しそのあたりを見ているとうろうろする姿を見つけることができます。

虫の声といえば「秋の夜長を鳴き通す♪」と歌われ
秋でなくともスズムシやコオロギなど夏の夜に鳴くものも多いのですが。
夏の炎天下で聞こえる虫の声もありますので見つけてください。

ミンミンゼミの声とか。。。きもち暑さ倍増してきますが(^^;)。。。
これも今の季節だけのもの。
まもなく暑さのピークも折り返します。

COPYRIGHT © 欅平ビジターセンター All RIGHTS RESERVED.