黒部峡谷の生きもの 欅平ビジターセンター STAFF BLOG

欅平ビジターセンター
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欅平ビジターセンター
〒938-0200
富山県黒部市宇奈月町黒部奥山
TEL:0765-62-1155
 
黒部峡谷の景観とそこに生息する動植物の紹介。黒部峡谷の誕生や歴史・地形・地質・景観・動植物・登山ルート、峡谷と人間の関わりをマルチイメージスライドにより紹介しています。

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ピカピカの

暑いです。
まだ梅雨明け宣言は出されていませんが「暑い」という声が聞こえてくるようになりました欅平。
先々週あたりまではまだ曇りの日などは肌寒かったりしたのですが。
曇っていても蒸し暑いです。
どうぞ感染症だけでなく熱中症にもお気を付けください。

さて。
今年もやってまいりました。
飛び込みのお客様 2020です。

20200722_1.jpg
オオセンチコガネ様。
今年もいらっしゃいましたね。お元気そうで何よりです。

20200722_2.jpg
あ。去年の方とは違う。まあそうですよね。
つぶらな瞳でお答えいただいたようで。

20200722_3.jpg
えっと。こちらのお客様はいかがなさいましたか。
前日ご来館されて出られなくなってしまいましたか。

20200722_4.jpg
とりあえず外へ。
おや。キレイな金属光沢ですこと。
タカネトンボ様ですか。
高嶺(たかね)という名前ですが標高の低いところにもけっこういらっしゃるとのこと。

20200722_5.jpg
陽の光をあびると美しいですね。ピカピカです。
大きな眼も水色に輝きます。まさしくトンボの眼鏡。
というよりサングラスかな。スポーツタイプの。

コガネムシやトンボなど金属のような光沢をもつ昆虫がいます。
これは構造色といって色素による発色だけではなく表皮などの構造によって光が反射やら干渉やら○○とか□□とかして光るのだそう。
…調べてはみたもののいろいろ物理用語が飛び交ってきたので挫折しました。
興味のある方はお調べください。
身近なものではCDの光沢とか。

で。なぜこの光沢があるのか。という理由。
なにかしらこの光沢があると生きていくうえで有利なことがあるからこのように進化したのだと思われますが。これもまた諸説あり。
興味のある方はお調べください。(再び)
熱帯のほうでピカピカの昆虫が多いようなので太陽光を反射させて捕食者から逃れるのに役立っているのでしょうか。想像です。

20200722_6.jpg
理由はさておき。
やはりピカピカの体には太陽の光がよく似合います。
このタカネトンボ体が冷えていたのかしばらくここで羽根をばたつかせてから無事に飛び立っていかれました。
お天気よくなると良いですね。

と思って見送りましたが
タカネトンボは森林内の薄暗いところが好きなのだそう。
ふーん。。。そうなんだ。


夏の使者

天気予報があてにならない今日この頃ですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。
今現在の欅平は晴れています。でも予報は雨。
富山県の梅雨明けの平年は7月24日とのことですが今年はいかがなりますか。
まだまだ大雨にも油断はならないといったところですか。

20200716_1.jpg
雨の日の奥鐘橋。
天気のせいもありますし昨今の社会事情もありまして平日はお客様も少なく静かな時間が過ぎています。
ヒトのお客様は少ないのですが最近欅平をにぎわせているのがこのトンボ。

20200716_2.jpg
アキアカネです。
「赤とんぼ」の代表選手。でもまだ成虫になったばかりで成熟していないので赤くはなっていません。
この日は奥鐘橋の赤い欄干に大勢とまっておられました。

20200716_3.jpg
他の種類のトンボと見分けるポイントは胸部横(羽根の付け根の下あたり)の黒いすじ模様。
ちなみにこちらは雄。

20200716_4.jpg
こちらがたぶん雌。腹部(羽根の後ろから尻尾にかけて)にある黒い模様がはっきりしてるから。(自信無^^;)

名前は「アキ」なのに山では夏にたくさん見られます。
「トンボ」も「赤とんぼ」も秋の季語ではありますが
トンボ自体は春から秋どこかしらにいるものです。

アキアカネは日本でもっとも普通にみられる「赤とんぼ」の一種です。
冬になるまえに里の田んぼなどの水辺に産み付けられた卵から
春の田んぼの水が張られる頃にヤゴが誕生し
およそ1~2か月の間に数回脱皮を繰り返して成虫になります。
そして夏が来る前に里より気温の低い山へ避暑にやってくるのです。
気温は20~25℃くらいが適しているらしく30℃を超えると生存が難しいとのこと。
欅平は標高600mほどしかなく 夏は意外と暑く なってしまうので盛夏にはもっと高地に移動します。
そして秋、じゅうぶんに成熟したアキアカネは大群を作って里へと下りていきます。
この大群がみられるのが欅平ではちょうど秋雨のころでしょうか。

20200716_5.jpg
初夏、山へ向かっていくときは羽化した順番に各々で動くのであまり大きな群れにならず目立たないのですが
秋、山から下りてくるときは大きな群れをつくって動くので目立つのです。
そして赤くなった成虫を里でよく見かけるのが秋。
ゆえに赤とんぼといえば「秋」。
ちなみに1年じゅう里にいるナツアカネなんてゆう赤とんぼもいます。

でも、山ではアキアカネは夏の使者。
欅平ももうすぐ梅雨はあけるのでしょうか。
どうでしょうか。

花から花へ

ギンリョウソウ1
先日のギンリョウソウ、大雨やらなんやらでご報告が遅くなりましたが、無事開花しました。

ギンリョウソウ2
竜というよりタツノオトシゴの顔を思い出します。

マルハナバチ1
と、既に他のお客様がいらっしゃってました。
もふもふの体のマルハナバチです。
鮮やかなオレンジ色の背中(胸部の背面)が目立つので、おそらくトラマルハナバチかナガマルハナバチあたり。。。

マルハナバチ2
これは別の日、名剣温泉の近くの道路わきで。
オニアザミの花に頭をつっこんでせっせと蜜を集めているようです。

マルハナバチ3
もふもふの体が花粉だらけになってますよ。

顕花植物(よく目立つ花をつける植物)の繁殖には送粉者(ポリネーター)と呼ばれる「別の生きもの」が、花粉を別の個体に届けるのに重要な働きをします。
多くの場合は虫であったり、鳥や動物であったりします。
マルハナバチは少し涼しい山地や森林の植物にはかかせない送粉者です。
植物とすれば、同じ種のなるべく離れた場所(違う遺伝子の個体)にたくさん花粉を運んで欲しいのです。
マルハナバチやミツバチは学習能力が高く、その時に咲いている同じ種の花を集中して訪花すると聞いたことがあります。

オニアザミ
虫などに花粉を運んでもらって自分とは別の個体(遺伝子)の花粉がつかなければ種子を作れない植物もありますが、ギンリョウソウのように虫が来なくても種子を作ることができる植物もあります。
花に訪れる生きものがたくさんいるのかいないのか、それぞれの環境によって植物は様々な進化をしてきています。


雨の日のヒキガエル

昨日(6月14日)の大雨による落石等の撤去作業のため、現在(6月15日)、猿飛遊歩道は全面通行止めとなっております。

その少し前の話。
ある雨の日の猿飛遊歩道です。
河原園地の先、猿飛峡の入り口がちょっと見えてくるあたり。

ニホンヒキガエル1
ヒキガエルがいました。
大人のヒトの手のひらほどもある大型のカエルです。

ニホンヒキガエル2
ニホンヒキガエル3
背中にあるブツブツをさわると白い毒液を出すのでさわってはいけません。特に目に入ると危険なのだとか。
毒蛇のヤマカガシはヒキガエルを好んで食べて、その毒を利用しているのだそうで。
本当でしょうか。このサイズのカエルを食べるのが、まずひと苦労な気もします。

ところでこのヒキガエル、2種類の亜種に分けられていまして、ニホンヒキガエルとアズマヒキガエルといいます。(あと別種でナガレヒキガエルなんていうのもいます。)
生息域が若干異なりますが、同じ地域にもいたり、雑種もいたりするようで。なかなか区別が難しいのですが、↑この個体はかなり微妙ですがニホンヒキガエルと思います。

アズマヒキガエル4
昨年、欅平の駅に現れた↑この個体は、あきらかにアズマヒキガエルですね。
目の後ろの鼓膜が大きくはっきりしていて、目との距離が近いのがポイント。

見た目がちょっと。。。あれなので。。。嫌われてしまうかもしれませんが。
主に活動するのは夜なので、昼間の散策ではそれほど遭遇率は高くないと思います。
漢字で書くと「蟾蜍」。あるいは「蟇」。
ぜったい読めません。

Sence of distance

トロッコ沿線で最もよく見つけることのできる野生動物は ニホンザル です。

ニホンザル(春)
ビジターセンターのすぐ横です。草の実を食べているようですね。

欅平を散策していても結構な頻度で群れを見かけることがあります。
ビジターセンターで「クマはいますか」という質問の次に動物に関する質問で多いのは
「サルは襲ってきますか」という質問です。
今のところこのあたりで「襲われた」という話は聞いていません。
威嚇はされることがあります。

たいていの場合は威嚇だけで攻撃まではしてきませんが、サルが向かってきたり吠えかけてきても、それ以上興奮させないように落ち着いて。
目を直視しないよう、絶対に背中を向けないよう、少しずつ距離を離していってください。
だいたいクマに出会った時と同じですね。対処のしかた。

野生の動物がヒトを襲うのはどんな時でしょう。
(その1)自分や家族に危害を加えるものだと判断したとき。
(その2)エサを取られたり生活圏を侵してくる邪魔な存在と判断したとき。
(その3)食える。エサだ。と判断したとき。
だいたいこんなところでしょうか。 ※個人的な考えです。
襲われないためには、ヒトはこれらにあてはまらないようにふるまい、彼らに無害認定してもらう必要があるわけです。
決して近づきすぎてはいけません。絶対にエサやりなどはしないでください。ヒトの食べ物の味を覚えさせないよう、必ずゴミはお持ち帰りください。

サル
ここは黒部の奥山。ツキノワグマやニホンザルの生息地です。
あくまでもヒトはそこに訪れた「訪問者」visitorであることを忘れたくはありません。

「距離感」が大事です。

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